試験のポイント

1級建築士学科試験のポイント

(学科I:計画) 出題20問

従来の計画が「計画と環境・設備」の2科目に分割されたことから、一概に過去の計画の試験結果から比較できないが、過去6年間の中でも最高得点となる。
計画の新分野であるマネジメント、積算から各1問出題されたが、積算は建築施工の問題を踏襲した平易な出題であった。また、新しい出題では、建築や都市の歴史的著作物に関する問題や「建築設計の手法」、「建築物の保存・再生・活用」、「まちづくり」、「街並み・景観」、「工事監理・契約」に関する問題など、設計者の実務に係る内容が重視されていた。しかし、難易度は、計画各論で過去問題の比率が高く、専門的な内容の新規問題でも解答枝が易しかったので高得点科目となった。

(学科II:環境・設備) 出題20問

従来の計画「原論・設備部分」の得点結果と比較してみても、標準よりも「やや易しい」問題であったといえる。
建築環境工学は、従来の8問に、「防火・防災」、「窓・開口部」に関する実務的な問題が加わった。過去問題の比率が高く、易しい問題構成といえる。建築設備は、空調設備3問、給排水衛生2問、電気設備2問、防災設備1問、輸送設備1問、融合1問の出題で、照明設備の単独での出題はなかった。想定通り、設備計画全般に関する基本的な知識が問われることになり、建築設備の専門化した内容としては、通気構法、光ダクト、空調負荷、吹出口、PBXの局線数、エスカレーターの三角部保護板等の新たな出題があった。全般的には、表現は難しくとも実務上の常識的な判断から解答できる問題が多く、学科Ⅰの計画同様に得点は上がった。

(学科III:法規) 出題30問

単独科目として実施されたことで、実質的な解答時間の減少が得点に大きく影響するのではないかと危惧されていたが、出題内容がひねったものではなく、建築物の安全性に係る法規制の基本的な理解力を問う出題が多く、結果として、過去6年間の中で、最も標準的な難易度となった。
建築基準法は、従来の問題に、手続き、構造強度、防火・避難に関する問題が増え、建物の安全に係る法知識が問われた。建築士法から単独で3問、基準法と士法の融合問題で2問と、予想どおり改正法令に関する出題が目立ち、建築士の役割、責務、倫理観が問われたのは、新試験制度の特徴といえる。その他の関係法令5問は、順当な出題であった。

(学科IV:構造) 出題30問

問題数が25問から30問に増えたが、力学問題は従来通り6問の出題にとどまり、一般構造問題も基本問題が中心であったため、高い難易度とはならなかった。
力学は、過去出題範囲のものであったが、部材の断面性能に係る出題が多く、多少計算の手間がかかるものが多かった。一般構造は、RC構造1問、鉄骨構造1問、耐震設計1問が従来より増え、耐震性能や建築物の靱性の確保に関する記述が顕著で、従来以上に建築物の安全性に係る構造計画の知識を問う狙いがうかがえる。特に、住宅瑕疵担保履行法の施行(10月1日)を控え、木造住宅の耐力壁倍率及び4分割法による軸組の設置基準などの出題のほか、RC構造の耐震壁の開口周比による剛性評価の問題が2年連続しての出題となった。難易度は、標準と考えられるが、本試験においては、やはり5科目中最も得点しづらい科目となった。

(学科V:施工) 出題25問

5科目の中で、唯一出題数の変更がなかった科目で、積算が計画に移行した分は、改修工事が出題された。特筆すべきは、例年必ず出題のあったガラス工事の出題がなかった点、2月のJASS 5改定の影響では、「鉄筋の重ね継手の長さ」で具体的な数値の出題がなかった点である。全般的に過去問題の比率が高く、各種工事において出題された新規問題も解答枝が過去の出題から十分判断でき、解答枝を絞り込みやすかったことから、難易度は、標準よりもやや易しかった。

1級建築士製図試験の出題傾向と学習のポイント

(1)設計製図試験の出題傾向

近年、少子・高齢化の社会的な背景から、健康増進、世代間交流・地域の交流、豊かな街づくり等をテーマにした多機能型の複合施設の出題傾向が顕著になっています。
近年の出題課題を例にあげますと、都市活性化の一環として地域に開かれた利便性の高いコミュニティ施設、すなわち、公共性と一体的に計画された新しい都市施設の出題が目立ちます。

平成12年度 「世代間の交流ができるコミュニティセンター」
平成13年度 「集合住宅と店舗からなる複合施設」
平成14年度 「屋内プールのあるコミュニティ施設」
平成15年度 「保育所のある複合施設」
平成16年度 「宿泊機能のある「ものつくり」体験施設」
平成17年度 「防災学習のできるコミュニティ施設」
平成18年度 「市街地に建つ診療所等のある集合住宅」
平成19年度 「子育て支援施設のあるコミュニティセンター」
平成20年度 「ビジネスホテルとフィットネスクラブからなる複合施設」
平成21年度 「貸事務所ビル」
平成22年度 「小都市に建つ美術館」

また、平成7年度に施行された「ハートビル法」(14年度一部改正)や近年の環境整備の考え方による「屋上緑化」などに配慮した計画条件での出題となっています。 また、出題される図種については、1階平面図兼配置図及び各階平面図、断面図、面積表といったところが、近年の一般的な出題です。

(2)設計製図試験のポイント

平成13年度より合格発表時に合否判定基準として「採点のポイント」「採点結果の区分(ランク)」「合格基準(ランク)」が発表されています。設計課題の設計条件に即して、限られた時間内でプランニングし、一定の図面を完成させる能力を問われる試験です。 試験時間は5時間半で、作成時間配分の目安は、プランニング2時間、作図3時間、チェック修正30分が標準です。採点はほぼ減点方式と思われますので、設計条件違反及び作図表現の違反が即減点につながる試験です。 したがって、課題文から設計条件を読取るポイント理解すること、短時間に無駄のないプランをまとめる力と作図のスピードアップが問われる試験です。